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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:26:44.91 ID:ePooG7lI0
食事を終えた僕たちは、なんとなくラウンジに集まったまま落ち着こうとしていた。
僕はようやく、ずっと気になっていたことを言うタイミングがきたと思った。
( ^ω^)「ところで……クーさんの死体は、どうするお?」
ξ゚听)ξ「え?」
僕の言葉に、みんなは一瞬何を言っているのか判らないといった顔で僕を見た。
(´・ω・`)「あ……ああ。あのままでいいんじゃないかい?」
( ゚∀゚)「警察が来るまで動かさないほうがいいだろ」
( ^ω^)「僕もそう思うお。でも、実際仲間の遺体を、殺されたままにしておけないと思うお……」
ξ゚听)ξ「内藤……」
(*‘ω‘ *)「うん、そうだよねーそれに救助はいつ来るかわかんないんだし」
ツンとちんぽっぽは同意してくれる。
しかしショボーンは考え込んでからこう言った。
(´・ω・`)「しかし……どうするんだい?たとえ外が吹雪いてなくても、さすがに埋葬はできないし」
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:33:48.70 ID:ePooG7lI0
( ^ω^)「別にそこまでは言ってないお」
( ^ω^)「ただ、コードをはずして、遊戯室の隅にでもちゃんと寝かせてあげるくらいはしてあげたいお」
クーさんの遺体を、僕たちはちっとも動かしていないのだ。
せめて、首からコードをはずして、乱れているであろう衣服や体勢を整えてあげたかった。
('A`)「……内藤の言うとおりだな。死体が怖いって言っても、さすがにあのままにしてはおけないな」
( ゚∀゚)「ああ。どうせなら、ちゃんとクーの部屋まで運んで、ベッドに寝かせてやろうぜ」
ξ゚听)ξ「そうね。そうしましょう」
そして僕らは、遊戯室に向かった。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:34:54.45 ID:ePooG7lI0
遊戯室は、今朝のままだった。
僕らはピアノの前に横たわっている見えないクーさんの遺体に近づき、数秒だけ黙祷した。
もちろん、クーさんは死んでいない。多分このペンションからそう遠くない宿泊施設にいるんだろう。
でも、僕らは役者だ。そしてこれは台本こそないが、ひとつの作品なんだ。
だから僕らは目の前に仲間の死体があるものと思って、行動した。
(*‘ω‘ *)「クーちゃん……」
涙ぐんだちんぽっぽが呟いた。そこにわざとらしさはない。
ショボーンがクーさんの首からコードをはずし、
一番体格がよく力のあるジョルジュがクーさんの体を抱き上げる。
( ゚∀゚)「……っと。やっぱ重いな、人1人の体重ってのは」
死体は自分で体重移動をしない。だからジョルジュの両腕には、手加減無くクーさんの体重がのしかかっていることになる。
ジョルジュはどうにかクーさんを上手く抱え上げ、遊戯室を出てクーさんの部屋へ向かう。
みんなそれに続いて遊戯室から出て行く。もちろん僕もそれに続こうとして、
( ^ω^)「……?」
ふと、視線を感じた。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:37:33.41 ID:ePooG7lI0
振り返るが、もちろんそこには誰もいない。
( ^ω^)「気のせいかお? ……まさか、クーさんの幽霊とかじゃないお……」
(;^ω^)「……こわいから、やめるお。それにクーさんは死んでないお」
自分が考えてしまったことを、ぶんぶんと顔を振って忘れようとする。
それから、遊戯室を改めて見回した。
扉から見て、部屋の対角線上にある壁に付けて電子ピアノが置いてあり、そこにクーさんは倒れていた。
遊戯室には他にもビリアードや、サッカーゲームなどがバランスを崩さないよう絶妙な位置に置いてある。
そしてそれらを見下ろすように、空き部屋と隣接した壁に時計が掛けられている。
白い円盤に黒字で数字が書かれたシンプルな時計だ。長針と短針がすらりと伸びている。
ξ゚听)ξ「内藤?」
と、遊戯室から出てこない僕を呼びにきたのだろう、ツンが僕の背中から声を掛けた。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:38:11.22 ID:ePooG7lI0
( ^ω^)「あ、今行くお」
ξ゚听)ξ「どうかした?」
( ^ω^)「なんでもないお」
そう言って僕は遊戯室から出て、ツンの横に並んで歩きだした。
ここからクーさんの部屋までは、ほぼ一直線だ。
ξ゚听)ξ「……内藤」
( ^ω^)「何だお?」
ξ゚听)ξ「クーちゃんのこと……あのままにしておけないって、私も思ってたから……その……」
( ^ω^)「ツン?」
ξ////)ξ「あ、ありがと……」
ツンはそれだけ言って、先にクーさんの部屋へ入ってしまった。
232
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:39:54.26 ID:ePooG7lI0
ツンに続いてクーさんの部屋に入ると、どうやらクーさんはもうベッドに寝かされたらしい。
ちんぽっぽが髪を整えるように手を動かしていた。
クーさんの部屋は、予想はしていたが、昨日クーさんが荷物を置いたそのままだった。
几帳面な性格なんだろう。入浴の際に出された衣服や荷物も綺麗に整理されている。
何一つ、ここから無くなっている物はなさそうだった。
( ^ω^)「クーさん、何も持って行かなかったのかお」
(´・ω・`)「みたいだね。化粧品や携帯電話もそのままのようだ」
('A`)「ここまで手が込んでると、薄気味悪いな」
ドクオの言葉に、誰も何も言わなかったが、多分全員が同意した。
それから僕らはまたラウンジに戻り、読書をしたり雑談をしたりと、とくに実の無い時間をすごした。
それでも誰も部屋に戻ったりすることがなかったのは、みんな、1人になることを避けているからだ。
1人になって、殺されてしまわないように。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:41:25.42 ID:ePooG7lI0
喉が渇いた僕が厨房に行くと、同じく水を飲みに来たらしいショボーンがいた。
(´・ω・`)「やあ。君も水を飲みにきたのかい?」
( ^ω^)「そうだお」
そう言うと、ショボーンは僕にコップを渡してくれた。
僕はそれにミネラルウォーターを注ぎ、口をつける。
( ^ω^)「ところで、ショボーンは本当に芝居が好きなんだお」
僕はずっと思っていたことを、ショボーンに話してみることにした。
推理と言ったって、今は手詰まり状態なんだ。特にすることも無い。
(´・ω・`)「うん、まあね。……でも、いきなりどうしたんだい?」
( ^ω^)「昨日、今日と一緒にいて、そう思ったんだお」
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
20:42:27.77 ID:ePooG7lI0
( ^ω^)「クーさんがいなくなったときも、率先して芝居をしていたお」
(´・ω・`)「仲間が死んだこととしていなくなってしまった時に、すぐに芝居をはじめてしまったから、あれは反省しているよ」
( ^ω^)「そんなことないお。今回僕たちは、芝居を完成させるためにここへ呼ばれたんだお」
( ^ω^)「役者として、そんけいできるお。ショボーンは本当に芝居が好きなんだお」
さっきも言ったことを、僕は繰り返した。
ショボーンは少し照れたように笑って、コップの中の水を飲み干した。
(´・ω・`)「芝居は好きだよ。だから、芝居を侮辱するような人間は許せないな」
最後にそう言って、ショボーンは厨房から出て行った。
僕も1人にはなりたくなかったので、水を飲み干すとすぐにラウンジへと戻った。
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第10話目