159
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
12:01:19.08 ID:ePooG7lI0
(*‘ω‘ *)「こういう時さ、おんなのこは怖がるのが普通だよねー」
(;^ω^)「おおおおおお!お!お!お!お!」
ちんぽっぽはそう言いながら、僕の腕にぎゅっとしがみついていた……
ちんぽっぽの小柄な体に似合わないおっきなおおおおおおおおおおおおおぱぱぱあああああああああ
(;^ω^)「ぼぼ、僕が犯人だったらどうするお、そんあにしがみついて」
(*‘ω‘ *)「内藤くんは犯人じゃないよー劇団員じゃないんだもん」
(*‘ω‘ *)「犯人は、言ってみれば荒巻先生のスパイみたいなものでしょ?」
(*‘ω‘ *)「そういうのはやっぱり、先生が信頼できる人じゃないとだめだと思うんだー」
(;^ω^)「で、でも、推理劇の犯人っていったら、意外な人物だって決まってるお」
(*‘ω‘ *)「それもそうだねー」
そう言うとやっとちんぽっぽは離れてくれた。
……離れてしまうと、なんだか切ない……僕はこれから先の人生で、あの感触をまた味わえるのだろうか……
160
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
12:20:27.62 ID:ePooG7lI0
( ^ω^)「それに、僕はちんぽっぽを疑ってるかもしれないお」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽーあたしが犯人だったりしてねー」
小悪魔な笑みを浮かべてそう言った後、ちんぽっぽはぶるぶると大げさに首を振った。
(*‘ω‘ *)「だめだめ。友達が死んだのに、こんな冗談言ってられないよねー」
非常口は、内側から鍵がかかっていた。つまり犯人がここから侵入したとしても、ここからは出ていないということだ。
僕は一応鍵を開けて扉を開ける。階段が右手側に伸びている、階段室だ。
階段を下れば、ペンションの裏、勝手口のそばに行けるようだった。
扉のすぐ側には、長靴が二足そろえて置いてあった。
僕たちはそれを履いて階段を下りることにする。
(*‘ω‘ *)「きれいだねー」
階段を下りて外を出ると、ちんぽっぽが思わずそう漏らした。
161
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
12:29:29.34 ID:ePooG7lI0
起伏のある高原が目の前に広がっていて、そのはるか先に雪の連峰を一望できた。
僕たちに与えられた”設定”とは対照的に、ここ数日は雪は降っていないけど
人が立ち入らないようなところには、まだ銀世界が保たれているんだ。
建物の周りはと言えば、好天続きで濡れてすらいなかった。
乾いた砂利のところどころに、白い塊が残っているだけだ。
僕は数歩歩いてから、ペンションのほうへと振り返って、あるものに気がついた。
( ^ω^)「……卓球台?」
さっきは景色に気をとられて気がつかなかったけど、
階段室の出口のすぐ側に、緑の板が立てかけられていた。
雨ざらしと言う風でもないし、どうしてこんなところにあるんだろう??
(*‘ω‘ *)「ぽっぽー内藤くーん」
僕が卓球台に首をひねっていると、少し離れたところからちんぽっぽの声がした。
162
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
12:36:41.48 ID:ePooG7lI0
ちんぽっぽは、ペンションの裏から少し離れたところにたって僕を手招きしている。
駆け寄っていくと、そこにはレンガ製の筒状の囲いがあった。
(*‘ω‘ *)「ねえねえ、これって井戸かなー」
( ^ω^)「みたいだお……でも、ずっと使ってないみたいだお」
井戸には板切れで蓋がされていて、その蓋に赤いペンキで『キケン 手を触れないで下さい』と書いてある。
( ^ω^)「でも、埋めてはいないみたいだお。わざわざキケンって書いてあるのを見ると」
(*‘ω‘ *)「ちょっと覗いてみよっかー白骨死体がごろごろあったりしてねー」
ちんぽっぽはあまり穏やかでない冗談を言って笑った。
僕らはペンションに戻ろうということになり、階段室まで行くと
階段室の壁に小さな紙が張ってあることに気がついた。
(*‘ω‘ *)「なんだろ、これ」
163
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
12:42:02.15 ID:ePooG7lI0
それはひどく汚い字で書かれた、犯人からのメッセージだった。
【階段室に貼ってあったメモ】
『地面は全て雪に覆われている。足跡は無い』
( ^ω^)「状況の説明だお……。多分、犯人役が貼ったんだお」
僕はそれを壁からはがし、ポケットにしまった。
それから僕たちは洗面所へ行きすべての窓を確認したが、どれも鍵がかかっていたし
洗面所の窓は小さく、人が通るのは厳しいと思われた。
隣の空き部屋も見に行ったが、収穫は無かった。
僕らが調査を終えてラウンジに戻ると、ショボーンとジョルジュがストーブで暖を取っていた。
(´・ω・`)「やぁ」
182
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
16:35:35.78 ID:ePooG7lI0
(*‘ω‘ *)「ただいまーさむかったよー」
(´・ω・`)「乙。このコーヒーはサービスだから、まず飲んで暖まってくれ」
そう言うとショボーンはマグカップを差し出した。中からこげ茶色のホットコーヒーが湯気を立たせている。
( ^ω^)「ありがとうだお。ツンたちはまだかお?」
( ゚∀゚)「いや、さっき戻ってきたぜ。今は1階の他の部屋の窓や収納スペースを調べてもらってる」
どうやら僕たちが古井戸に寄っていた為、他の4人はとっくにラウンジに集まっていたらしい。
それからしばらくしないうちに、2人は戻ってきた。
ラウンジに全員集まったところで、調査結果の報告を始める。
( ^ω^)「こんなメモが階段室の外の壁に貼ってあったお」
僕はそう言ってみんなに見えるようメモを掲げた。
だけどみんなは一目見ただけで、あまり驚きは見せなかった。
183
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
16:36:47.54 ID:ePooG7lI0
( ゚∀゚)「そういうメモなら、玄関にもあったぜ」
【玄関扉に貼ってあったメモ】
『玄関の外は一面雪。足跡は無い』
ξ゚听)ξ「勝手口にもあったわ。」
【勝手口に貼ってあったメモ】
『地面は一面雪で覆われている。足跡は無い』
( ^ω^)「やっぱり。そうだと思ったお」
メモの内容は結局どれも同じだ。足跡は無い、つまり侵入者がいた形跡は無いということだ。
( ゚∀゚)「玄関には、クーの靴がちゃんとあったぜ。多分、スリッパか何かを用意しといたんだろうな」
(*‘ω‘ *)「へぇー。手が込んでるねー」
それには4人全員が感心した。
確かに、死んだ筈のクーさんの靴が無くなっていたら不自然だ。
184
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
16:39:41.87 ID:ePooG7lI0
(´・ω・`)「でも、玄関と事務所の窓や収納スペースに異常は無かったね」
('A`)「こっちもだ。勝手口と厨房の窓は内側から鍵がかかってたし、食品庫に隠れるようなスペースは無かった」
ξ゚听)ξ「1階のすべての窓にも鍵がかかっていたわ。人が隠れられそうな場所にも、何も無かったし」
( ^ω^)「洗面所の窓も鍵がかかってたお。一応空き部屋も見に行ったけど、誰も隠れてなかったお」
(*‘ω‘ *)「あとねー奥に古井戸があったよー」
( ゚∀゚)「つまり、外部犯の線は消えたってことだな」
ジョルジュが言って、沈黙がおりた。
この中の誰かが荒巻先生の指示を受け、クーさんを殺したと言うことだ。
……実際は死んでないのだが、クーさんは本当に忽然と姿を消してしまったので
なんだか本当にクーさんが死んでしまった気さえしてくる。
185
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
16:40:20.82 ID:ePooG7lI0
(*‘ω‘ *)「……ねえ、とりあえず、ご飯にしない?もうすぐお昼なのに、あたしたち朝ごはんも食べてないんだよ」
(´・ω・`)「……それもそうだね。空腹では頭も回らない。うん、そうしようか」
('A`)「腹が減っては戦もできん、か」
ということで、僕たちは遅い朝食兼昼食をとることにした。
夢中で気がつかなかったけど、確かにお腹がへっていた。
食事当番はショボーン、ドクオ、ちんぽっぽ。
やることも無い僕とジョルジュ、そしてツンは食堂のテーブルについて待つことにした。
(*'A`)「……」
(#^ω^)「ドクオはいつまでここにいる気だお。さぼるなだお」
('A`)「さぼってねーよ。ほれ、コーヒーおかわり淹れてやる」
ドクオはコーヒーを運んできたまま、厨房に帰ろうとはせずにツンの隣に立っているのだ。
186
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
16:41:01.33 ID:ePooG7lI0
ξ゚听)ξ「……ねぇ、自殺ってことは考えられないのかしら」
('A`)「え?」
ふと、ツンが口を開いた。
ξ゚听)ξ「コードを使って、自分で自分の首を絞めたのかもしれないわ」
( ^ω^)「確かにそうだお。……でも、可能性は低いと思うお」
ξ゚听)ξ「そうよね……」
ツンは僕の言葉を予想していたみたいだったけど、残念そうな顔をした。
芝居とはいえ、仲間同士で殺人があったという設定には抵抗があるみたいだ。
(*‘ω‘ *)「ごはんできたよー」
そこに、厨房からワゴンを押したショボーンたちがやってきた。
187
: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
16:42:31.18 ID:ePooG7lI0
(´・ω・`)「仲間が死んで、食欲があるはず無いからね。メニューには頭を悩ませたよ」
メニューは、野菜中心の具を挟んだサンドウィッチ。
それがたくさん盛られた大皿2皿が、テーブルに置かれた。
ちんぽっぽが各自の前に小皿を並べる。
(´・ω・`)「各自、自分が食べたい分だけとって食べてくれ」
('A`)「コーヒーのおかわりならたっぷりあるぞ」
( ^ω^)「いただきますだお」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽ」
ξ゚听)ξ「いただきます」
いざ食事が始まると、全員芝居はやめて食べ始めた。
芝居を続けていたら、ショボーンの言うとおり食欲があるはず無いのだから満足に食べられないのだ。
( ^ω^)「ハムッハフハフ、ハフッ!」
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第8話目