26
:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
01:42:26.24 ID:3vaq+PdXO
その少し前。
(;^ω^)(は…入れねーwwwwwwwwww)
用を足し終えてすっきりとした顔で戻ろうとした洞穴からツンとドクオの言い争いが聞こえてくるのに、内藤は困った顔で辺りをうろうろと歩き回る。
ミ,,@盆@ミ『どうした?』
(;^ω^)「ま、待つお!!」
平然と中に入ろうとしたラオウを引き止めて内藤はおどおどと付け加える。
( ^ω^)「ドクオくんがあんな声を上げるのは、きっと何かあるんだお…。今は二人で話させてあげるのがいいと思うんだお」
ミ,,@盆@ミ『…そうか。別に構わんが、立ち聞きは好きではない。場所を移そう』
( ^ω^)「ごめんお」
28
:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
01:56:59.69 ID:3vaq+PdXO
ラオウは踵を返すと、静かに淡い月光の中を歩いて行く。
数分も歩かぬうちに、傾斜のきつい下下がりの斜面を前にして立ち止まる。
斜面が途切れる頃には、背の高い草々が生い茂って続いていた。
ミ,,@盆@ミ『…ここからリアチュウ・フォレストに出れるはずだ』
( ^ω^)「ここから?!」
ミ,,@盆@ミ『村からは死角になる位置にあるらしいからな。斜面を下って、草群らに紛れてしまえばまず見つからないだろう。しばらく歩けば、森に繋がる』
( ^ω^)「ツンがここを降りれるかお……」
鋭い岩が所々突き出た斜面は、内藤やドクオなら辛くも降りれそうなもの、女性で、更に身重でもあるツンには無理がありそうである。
30
:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
02:07:38.27 ID:3vaq+PdXO
不安そうに呟く内藤に、案ずるなと言うようにラオウが首を振る。
ミ,,@盆@ミ『あの女ならば某が乗せていく。某の跳躍力ならばこの程度の障壁、取るに足らん。ドクオの頼みだ、ついでに護衛の真似事もしてやろう』
( ^ω^)「おお…頼もしいお!ありがとうだお!」
ミ,,@盆@ミ『礼には及ばん…ただし、某が案内出来るのは森の入口までだからな。森から先はお主たち二人が力を合わせて行くしかない』
(;^ω^)「な、なんでだお?ラオウさんが居てくれたら、きっと僕たちも心強いお!!」
ラオウは雄々しくも優雅な姿で地面に座り、斜面の下を見つめたままに首を振った。
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:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
02:14:53.09 ID:3vaq+PdXO
ミ,,@盆@ミ『定められた掟だ。某の…ニートウルフの生きるべき森はチューボー・フォレスト。リアチュウ・フォレストにはリアチュウ・フォレストの住人たちが棲み、彼等特有のしきたりを持つ。それを踏み荒らす事は、森に対する冒涜だ』
( ^ω^)「……」
重々しい言葉に内藤は黙り込み、俯いた。
( ^ω^)「…すまなかったお。僕、自分達の事しか頭に無かったお」
ミ,,@盆@ミ『気にするな。家族がかかっているんだ。盲目にもなるだろう』
ラオウが長くふさふさとした尻尾を揺らす。
37
:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
02:25:55.90 ID:3vaq+PdXO
( ^ω^)「…ありがとうだお」
座り込むラオウの隣で膝を抱えて、同じように斜面の下を眺めながら内藤は小さく礼を言った。
風が吹き、内藤の頬とラオウの毛並みをさらさらと撫でて行く。
( ^ω^)「そう言えば…セルバンテスくんは凄く可愛い子だお。将来ラオウさんみたいな男前な狼になりそうだお」
ミ,,@盆@ミ『フッ…まだまだ甘えが抜け切れんで困る』
口ではそう言いながらも、ラオウはとても嬉しそうな目をする。
( ^ω^)「それでも可愛いお。ラオウさんの事が大好きなんだお。僕も自分の子供に好かれるようないい父親になりたいお」
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:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
02:35:46.53 ID:3vaq+PdXO
ミ,,@盆@ミ『…不安がる必要は無いだろう。お主なら間違いなくいい父親になれるさ』
(*^ω^)「ホントかお?」
ミ,,@盆@ミ『少し間が抜けている、と思われるかもしれんがな』
(#^ω^)「…言い返せないのがムカつくお」
ミ,,@盆@ミ『フッ、ピリピリするな。大丈夫だ…主は某が久し振りに気に入った人間だ。間抜けたところは愛嬌、だろう』
( ^ω^)「…そうかお」
照れつつ頭を掻くも、内藤はハタと気付いてオウム返す。
( ^ω^)「『久し振り』?」
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:CATS ◆STRAY/tOkM :2006/04/07(金)
02:45:40.69 ID:3vaq+PdXO
ミ,,@盆@ミ『ドクオ以来、と言う意味だ。…基本的に人間は好きではない。姿と思い込みのみで某達を迫害し、畏怖し、某達の棲みかである森を侵略しようとする』
( ^ω^)「そんな事……」
無い、とは言えないだろう。昨夜、自分は間違いなく彼を恐れて逃げた。
もし内藤があの時、狼を倒せるような凄い武器を持っていたら――使わなかった、と断言出来るだろうか。
ラオウが暗い表情で遠くに見える森を見つめる。
ミ,,@盆@ミ『トニーが来てからと言うもの、人間による某達の被害は凄まじくなった。訳の分からん力で行動を抑制されている内に森は踏み荒らされ、人間にとって価値のある動物は殺されて毛皮となり肉となり…』