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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
09:57:24.20 ID:ePooG7lI0
――朝
僕は体に染み付いた習慣で、6時半には目が覚めてしまった。
もっとゆっくり寝ていてもいいのに、と自分に呆れながら着替えを済ますと、タオルや洗面道具を持って部屋の扉を開ける。
ラウンジを見下ろすと、ショボーンが本棚の横の長椅子で本を読んでいた。
( ^ω^)「おいすー。ショボーン早起きだお」
(´・ω・`)「おはよう内藤くん。一応、今朝の食事当番だからね」
ショボーンはそう言ったが、他の皆はまだ寝ているらしく、結局ショボーンも無駄な早起きをしてしまったんだろう。
僕は洗面所に行き、洗顔歯磨きを済ますとラウンジに下りた。
やることも無いので、窓際の長椅子に座り本を読んでいると、そのうちツンやドクオ、ジョルジュも部屋から出てきた。
ドクオとジョルジュは洗面所から出てくるとすぐにラウンジに下りてきたけど、
ツンは顔の手入れをすると言ってまた部屋に引っ込んでしまった。
結局、ラウンジには男4人が女性陣を待つ格好になった。
( ゚∀゚)「しかし、本があるのはありがたいな。いい暇つぶしになる」
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
10:04:41.27 ID:ePooG7lI0
ジョルジュが誰に言うでもなく呟くと、ドクオが立ち上がり玄関のほうへと向かった。
(´・ω・`)「どこに行くんだい」
('A`)「新聞が来てないか見てくるんだよ。ひたすら殺人小説なんか読むより、新聞読む方がよっぽど有意義だと思うんだがね」
( ^ω^)「まだ分かってないお。ここは雪で閉ざされた山荘なんだから、新聞が配達されるわけが無いお」
( ゚∀゚)「それに、外との接触を持っちゃいけないって、荒巻先生も言ってたしな」
全員に責められる格好になったドクオは、釈然としない顔で食堂の椅子に腰を下ろした。
('A`)「わかってるよ。けどよ、こうも何も起きないと、やる気が起きないだろ」
ξ゚听)ξ「それもそうね。昨日はちょっとわくわくしてたけど」
と、部屋から出てきたツンがドクオに同意した。
ちょうどちんぽっぽも起きてきて、洗面所へ向かった。
と言うことは、まだ起きていないのはクーさんだけになる。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
10:11:57.30 ID:ePooG7lI0
ツンがラウンジに下りてきて、辺りを見回して聞いた。
ξ゚听)ξ「あれ?クーちゃんはどこ?」
(´・ω・`)「まだ寝てるんじゃないかな。多分、僕が一番最初に起きたと思うけど、クーの姿は見てないよ」
ξ゚听)ξ「そう……クーちゃんがこんな時間まで寝てるなんて、珍しいなあ」
そう言ってツンは窓の上に掛けられた時計を見た。時刻は9時になろうとしていた。
( ^ω^)「クーさんなら、夕べ遅くまでピアノを弾いてたみたいだお。疲れてるんじゃないかお?」
(*‘ω‘ *)「あれークーちゃんまだ寝てるの?」
洗面所から顔を出したちんぽっぽも不思議な顔をして聞いた。
どうやらクーさんは寝坊とは一切縁の無い人らしい。
ショボーンも、クーさんが一番最初に起きてると思ってラウンジに下りたらしいのだ。
(*‘ω‘ *)「遊戯室で寝ちゃってたりして」
( ゚∀゚)「あいつに限ってそれはないだろ」
言い出したちんぽっぽも、それはないとわかっているようで
まだ眠気の残る顔で笑いながら、遊戯室の扉を開けた。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
10:19:10.32 ID:ePooG7lI0
(*‘ω‘ *)「やっぱりいない……ぽっぽ?」
遊戯室を覗き込んでいたちんぽっぽが、何かに気がついたように声を上げて遊戯室へ入っていった。
しばらくして出てきたちんぽっぽの顔から、眠気はすっかり吹き飛んでいた。
(*‘ω‘ *)「大変ぽっぽ!クーちゃんが消えちゃった!!」
(;^ω^)「き、消えちゃったって……どういうことだお?」
ちんぽっぽは転がる勢いで階段を駆け下り、ラウンジへとやってくると一枚の紙を見せた。
小さなメモ用紙らしいその紙には、ひどく汚い字で何かが書いてある。
( ^ω^)「なんだお?」
(*‘ω‘ *)「遊戯室のピアノの前に落ちてたぽっぽ」
(´・ω・`)「見せてくれないか」
ショボーンが言って、ちんぽっぽはその紙をショボーンに手渡した。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
10:25:17.49 ID:ePooG7lI0
('A`)「おい、ちんぽっぽ。どういうことなんだ?消えたってのは」
(*‘ω‘ *)「だから消えちゃったんだよ!ちんぽっぽ!!」
( ゚∀゚)「落ち着けって……」
ξ;゚听)ξ「ショボーン、その紙にはなんて書いてあるの?」
(´・ω・`)「ああ……今読み上げるよ」
【遊戯室に落ちていたメモ】
『クーの死体について
死体はピアノのそばに倒れている。
首にヘッドホンのコードが巻きついており、絞められた跡がある。
この紙を見つけた者を、死体の第一発見者とする。』
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
10:32:07.34 ID:ePooG7lI0
(´・ω・`)「そう書いてあるよ……えらく汚い字なのは、多分筆跡をごまかすためだろうね」
(;^ω^)「……やっぱり、次回作は殺人事件が起こるって設定だったんだお」
( ゚∀゚)「なんか、とんでもないことになってきたな。しかしクーが殺され役とは思わなかったぜ」
ξ゚听)ξ「でも、クーちゃんどこへ行ったのかしら……」
ツンが心配した様子で呟いた。
突然友人がいなくなったのだ、しかも”殺された”と言う設定の下。心配しないほうがおかしいだろう。
( ^ω^)「多分、このペンションの近くにいると思うお。夜中のうちに出て行ったんだお」
('A`)「ずっと死体の演技なんて無理だからな」
( ゚∀゚)「でも、クーにはすっかり騙されたな。何にも知らないフリをしてただけって事か」
ジョルジュが呆れたように言った。
クーさんはもちろん、ここにいる全員が役者なのだ。他人を騙すのは簡単だろう。
だけど、僕はそれには同意できなかった。
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: ◆bsKbvbM/2c :2006/03/20(月)
10:41:59.93 ID:ePooG7lI0
( ^ω^)「クーさんは何も知らなかったって事もあり得るお」
そう言うと、6人全員が驚いたように僕を見る。
(*‘ω‘ *)「どういうこと?」
( ^ω^)「クーさんは何も知らなくて、夕べ突然、犯人役に殺され役を指示されたのかもしれないお」
(´・ω・`)「なるほどな。うん、その可能性の方が高いだろう」
ショボーンが頷いて僕を支持してくれた。
他の皆も、特に反論もせずに頷いている。
( ゚∀゚)「ってことは、この中に犯人役がいるんだな、やっぱり」
( ^ω^)「犯人が誰か推理するんだったら、ここじゃなくて遊戯室に行くお。現場も見ずに犯人が分かるわけないお」
('A`)「それもそうだな」
(*‘ω‘ *)「なんか、いよいよって感じだねー」
さっきまで興奮していたちんぽっぽも、今はもうすっかり落ち着いているようだ。
そして僕らは、遊戯室に向かった。
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第6話目